神は自らに似せて人を創った
其れ故に人は 神を憎む―――
「本匠さん、済まないが僕の眼鏡を取ってくれないか?」
「ヤダ」
「…………」
「大体ねぇ、えっちの時にメガネを外すなんて、メガネ者にあるまじき行為よ!? アンタには全く幻滅だわ」
「普通眼鏡は外すものじゃないのか? 観察されているようで、非常にやりにくかったのだが」
「あーら。メガネがあって良かったわぁ。小さくて見つからないところだったもの」
「……失礼なっ。僕は標準だぞ。むしろ人並み以上と言っても過言ではない」
「なに声ひそめてるのよ。バカね」
「何でOKしたの?」
「何が?」
「私が、しようって言った時。何で拒否しなかったの?」
「女性が誘っているのに、断るのは失礼だろう」
「義理でえっちする方が、よっぽど失礼よっ」
「君こそ、何で僕に抱かれようなんて思ったんだよ」
「言ったら焦るかと思って。まさかOKされると思ってなかったし」
「何だと!?」
「まぁ、アンタに興味もあったし。別の誰かでも良かったんだけどね」
「本匠さん!!」
「……なによ」
「女性はそんな風に、自分を安売りするものじゃない! もう少し恥じらいを持っていただきたい!」
「あはははは。真面目なのねぇ」
「じゃあ一つだけ教えてあげる。アタシね、ヒメが大好きなのよ」
「……そんな事、言われるまでもなく周知の事実だと思うが」
「本気なの。ヒメの心も身体も欲しいの。独占したいの」
「毎日、アタシのことだけ考えて欲しいの。他の男なんて視界に入れて欲しくないの」
「本匠さん……」
「でもヒメは優しいから、アタシがそんなこと言ったら、きっと悩むわ。ヒメは黒崎が好きなんだもの」
「アタシが、ヒメの心を欲しいと言ったら、ヒメはアタシに心を与えようとするわ。そんなのイヤだからヒメには身体が欲しいとしか言えないの。そうすれば、いつもの冗談で済む」
「……僕も冗談かと思っていた」
「ヒメの全てが欲しいのに、彼女から何かを奪うのはイヤなの。だけど、時々心が折れそうになるから、誰かに支えて欲しくなるのよ」
「自分でも、馬鹿だとは思うけどね」
「何故、そんなことを僕に?」
「だって、似てるんだもの、石田とアタシ」
「………君、それは、いくらなんでも失礼だろう」
「 ア ン タ も ね 」
「あーぁ。打ち明けて損したわ。やっぱりアンタって、所詮ヘタレメガネよね」
「何とでも言いたまえ。君を相手にしていたら、気力が続きやしない」
「あら、開き直っちゃって。かわいくないったら」
「? 本匠さん……この時計……?」
「あぁ、止まってるわよ。見りゃ判るでしょ?」
「―――!? 済まないが、これで失礼する」
「何よ、慌てちゃって。こんな夜中に、用事でもあるの?」
「約束がある」
「ヒメと?」
「―――!!!」
「黒崎やチャドも一緒なんだ?」
「何故それを…っ!?」
「―――どうして、どいつもこいつも嘘が下手かね……」
「ホラ、さっさと行きなさい。先刻の話、ヒメにしたら、殺すわよ」
「…………」
「何よ」
「僕も一つだけ、伝えておく」
「僕と彼らは、これから少々遠いところへ行く。もちろん、全員無事で帰ってくるつもりだが、危険が全くないわけではないし、万が一のこともある」
「ちょっと……」
「不安と孤独で、心が折れてしまわないように、誰かが―――」
「君が、待っていてくれると、有難い」
「言われなくても、ついてく気はさらさらないから―――待っててやるわよ」
「感謝する」
「勘違いしないでよ。アンタなんか、ヒメを待ってるついでよ、ついで」
「ヒメに怪我させたりしたら、許さないわよ」
「うむ。留意する」
「アンタも、肝心なところでボケてるんだから、気をつけなさいよね」
「判っている」
「ヒメに手出したり、しないでよね」
「 そ れ は な い 」
「全く、何だってあのヒメの可愛らしさに気付かないのかしら。女の趣味悪いんじゃないの?」
「……………悪いかも知れん」
「ちょッ!? ヤダ、なに顔赤くしてんの! キモっ!」
「五月蝿い。今、物凄い自己嫌悪に陥っているところだ。放っておいてくれないか……」
「もう、早く行きなさいよ。ヒメが待ってるんでしょ」
「あぁ。―――――有難う。必ず、戻る」
「言っておきますけど! アタシはあくまでヒメ一筋なんですからね! アンタなんか好きじゃないわよ」
「判ってる」
「全っ然、判ってないっ!」
神は自らに似せて人間を創った
それ故に神は 人を愛するのだと 誰かが云った
千×雨三部作、ようやく完結です。…って微妙に半端な終わり方だし!
千鶴が暴走しすぎて収拾つかなくなった、というのが実際のところです。
あー、何か、内容については、イロイロイロイロ問題がありますが、妄想なので勘弁してください……。
千鶴再登場しないかなー。
完結が非常に遅くなってごめんなさい。
まぁ、そもそも完結すること自体が、私にとっては快挙なのですが。
2004/01
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